太鼓でリハビリ?和太鼓で認知症・ボケ防止が期待ができる!?

太鼓でリハビリ?和太鼓で認知症・ボケ防止が期待ができる!?

これから高齢化社会になり、65歳以上の認知症は10年後に5人に1人といわれています。
そこで、和太鼓で認知症やボケ防止ができるのか?
をまとめた記事を作成させて頂きました。

出典:保健指導リソースガイド
65歳以上の認知症は10年後に730万人に増加 5人に1人が認知症に
http://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2015/004044.php

まず、認知症とはなんなのか?

認知症とは、色々な原因で脳の細胞が死んでしまったり、
働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、
生活するうえで支障が出ている状態のことを指します。

様々な種類の症状がありますので、主なもの4つを簡単に説明します。

  • アルツハイマー型認知症
    認知症の中で一番多いとされ、女性に多くみられる症状といわれています。
  • レビー小体型認知症
    アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症で、男性の方が多く、女性の約2倍と言われています。
  • 脳血管性認知症
    こちらもアルツハイマー型認知症に次いで多い認知症。脳の血管障害により起こります。
  • 前頭側頭型認知症(FTD)
    若年性認知症など若い人でも発症する認知症。万引きなどの非社会的行為が見られることが特徴です。

このうち約60%はアルツハイマー型認知症が原因で、
約20%が脳血管型認知症によるものとされているようです。

ボケと認知症の違い

多くの人は60歳頃になると記憶力、判断力、適応力などに衰えがみられるようになり、
知能の老化が始まります。それに伴い物忘れなどが多くなってくるのもこの時期です。
しかし、この物忘れは加齢に伴う自然なもので、認知症の症状ではないようです。

加齢に伴う物忘れの特徴

加齢に伴う物忘れは、「うっかり人との約束の時間を忘れてしまった。」
「物をどこにしまったか忘れてしまったので探している。」などです。

健康な人の物忘れの場合、「約束をしたこと」、「物をしまったこと」自体は覚えています。
つまり「自分が忘れている」こと自体は覚えています。

認知症の症状としての物忘れの特徴

認知症による物忘れは、約束したこと自体忘れたり、
物をしまったこと自体忘れたりすることです。

体験自体を忘れてしまっているので、認知症患者は理由が分からず、
「約束なんかしていない」とか「物がない!きっと盗まれたんだ!」と怒ることがあるそうです。

太鼓で脳を活性化させ、認知症・ボケ防止ができるのか?

では、認知症を予防するにはどうしたらいいのか?と気になると思います。
そこで、太鼓を通して予防できるのかを書いていきたいと思います。

まずはじめにボケ予防・認知症予防に音楽療法での効果が期待できるのか?を解説

音楽療法とは?

音楽療法とは、精神および身体の健康の回復・維持・改善という
治療目的を達成するうえで音楽を適用することです。

医師たちに信頼を得た療法なのか?

実際に療法を行った音楽療法士や、関わった医師は効果を実感しているようなのですが、
医学会全体でみるとそうではないようです。

なぜ、このような信頼度の差があるのか?

医学的基準を満たした良質な研究・報告がある一方、
「音楽を用いて何かすればすべて音楽療法」といったレクリエーションのような報告もあるため、
その報告を目にした人が音楽療法そのものについて疑念を感じてしまったのかもしれません。

音楽療法には段階が必要である

治療を始める時点での患者の症状に合わせた曲から入り、
次第に目的とする状態に近づけるように楽曲を変えていくそうです。

例えば,うつの治療患者に音楽療法を用いるとき、
いきなり元気で明るい楽曲を用いるのではなく、まずは落ち着いた静かな曲から導入し、
患者の様子をみながら次第に明るさ・活発さを増していきます。

身体リハビリで患者の回復に合わせて加える負荷を替えていくのと同じです。

認知症に対して期待できる音楽療法の効果

もの忘れに関しては、音楽聴取によりアルツハイマー病患者のエピソード記憶が
改善したとの報告があるようです。

また、音楽は感情に直接はたらきかけることから
周辺症状(BPSD)に対する効果も期待されています。
最近の複数のシステマティック・レビューでもその有効性が確認されているようです。

音楽療法にかかる経費は,認知症患者の一日のケア費用の70分の1で
費用対効果が大きいとの報告もあり、周辺症状の改善は音楽療法の効果が
もっとも期待できる領域なんだそうです。


※システマティックレビュー
この治療法は、本当に効果があるのか?この薬を飲むことに意味があるのか?など
具体的な疑問に対して、論文をくまなく調査し、分析すること。

※周辺症状
周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状を「周辺症状」といいます。幻覚を見たり、
暴力をふるったり、徘徊したりといった行為はいずれも「周辺症状」の一つです。

※エピソード記憶
イベント(事象)の記憶である。 エピソード記憶には、時間や場所、そのときの感情が含まれます。

出典:医学書院
https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03033_04

では太鼓で認知症予防・ボケ予防はできるのか?

音楽療法が、認知症改善に効果ができることが分かったところで、
いよいよ太鼓は認知症予防に効果が期待できるのかを書いていきたいと思います。

関西学院大学の実験で効果が期待できると実証

関西学院大学は情報処理学会で「和太鼓の効用に関する脳活動計測」とし、
これまで音楽療法で定評のあった太鼓の効果をはじめてデータで明らかにしました。

研究は太鼓を演奏したときの脳活動を分析したもので、
太鼓を打つと前頭前野の脳血流に大きな変化がみられることをつきとめました。

太鼓を打った時の血流上昇の結果

また「簡易太鼓」と「和太鼓」、「一人で打つ」のと「複数人で打つ」のとでは、
いずれも後者に大きな効果があることもわかりました。

簡易太鼓と和太鼓を打った時の脳の活性化の違い

この実験の被験者は高齢者4人と20代の学生12人で、
太鼓の演奏は単調な音の繰り返しから、337拍子などリズム感のあるものまで、
さまざまなパターンで行ったのですが、とくに高齢者ほど脳が活性化する傾向が大きくなりました。

出典:Hの里(萩の里)学会発表(7枚目)
連続和太鼓療法による痴呆患者への効果 玄順烈、原木加奈、亀井正:日本看護学会抄録集 老年看護,巻:34,2003.9

出典:(株)太鼓センターと関西学院大学との共同研究(8,9,10枚目)
文献:腹部への振動刺激呈示による和太鼓音の主観的評価の向上 風井浩志、山岡晶、松井淑恵、片寄晴弘:日本感性工学会 論文誌,9,591-600,2010.9

認知症患者にも効果が期待できるのか?

とある施設で下記のような条件で回復の具合を調べました。

  • 認知症患者30人ほど選び、10日の間、毎日1時間太鼓を聴き、打つ。
    (5分聴き、15分打つを3クール)
  • 認知症の程度を「軽、中、重」の3段階のグループ分ける。

その結果、
軽度の人はほとんどがめざましい回復で、人によっては全く健常な数値に回復し、
中度のひとも回復数値は大きかったようです。

しかし、重度の人は、全く変化のない方やわずかだけ回復の人がいる、
という状況だったようです。

認知症介護疲れの方も太鼓でストレス発散

認知症介護はストレスをうまく発散しなければ続かず、また、長期間になることも多いので、
ストレスを上手に解消していかないと、心身ともに参ってしまいます。

太鼓は脳の活性化だけでなくリラクゼーションの効果も期待できますので、
介護される方にも太鼓はおすすめです。

実際の実験でも、太鼓を打つ前、打ったあとの脳波比較実験では、
太鼓を打つとで、右脳でα波が増加する傾向が確認されました。
これは、癒し(リラクゼーション)の効果を示しているとのことです。

太鼓を打つ前と打った後のアルファー波の違い

出典:(株)太鼓センターとびわ湖成蹊スポーツ大学との共同研究(11枚目)
太鼓演奏が及ぼす心理的・生理的影響について 住谷将史、菅井京子、豊田一成 スポーツ開発・支援センター年報 3(1),44-48,2006-00-00 びわ湖成蹊スポーツ大学

最後に

太鼓教室も増えてきていますので
認知症を予防しつつ、太鼓を新しい趣味として太鼓を始められえはいかがでしょうか?

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