世界最古のオーケストラ!?雅楽とは?

世界最古のオーケストラ!?雅楽とは?

西洋音楽の基礎を構築した作曲家で、日本の音楽教育では「音楽の父」と称されたバッハ(1685年~1750年)が活躍した時よりも、約700年前に雅楽は完成されており、世界最古のオーケストラともいわれています。

そんな雅楽についてこの記事では紹介していきます。

雅楽とは

歴史

雅楽は5世紀前後からアジア大陸の諸国からもたらされた音楽や舞に、日本古来の儀式音楽や舞踊などが融合して日本化したもです。10世紀頃の平安時代に大まかな形態が成立し、1200年以上の歴史があります。

雅楽の演奏は宮廷、寺院、神社にて盛んにされ、京都・奈良・大阪の専門の演奏家によって伝承され続け、明治時代に宮内庁式部職楽部が創設され雅楽を伝承しています。

 

雅楽には種類がある

雅楽には、奈良・平安時代に日本へ伝えられた音楽と舞と、日本古来からあった舞楽や、平安時代に作られた歌曲などが含まれます。

種類を大別すると、以下の三種類になります。

日本に古くから伝わるもの

  • 国風歌舞(くにぶりのうたまい)

外来のもの

  • 唐楽(とうがく):中国、インド(天竺)、南ベトナム(林邑)等より伝来したもの。器楽合奏の管絃と、舞のある舞楽です。
  • 高麗楽(こまがく):朝鮮、中国北東方面などより伝来したもの。昔は管絃もありましたが、現在では演奏されず、舞楽のみが演奏されます。

平安時代にできた歌曲

  • 催馬楽(さいばら):民謡などの歌詞に拍節的(はくせつてき)な節をつけて歌うもの。
  • 朗詠(ろうえい):漢詩に非拍節的(ひはくせつてき)な節をつけて歌うもの。

※拍節…等しい間隔で打たれる基本的なリズム

 

管絃と舞楽とは?

管弦

管絃は下記の編成で演奏される、器楽合奏を指します。

 楽器の種類
管楽器(三管)・笙 (和音)
・篳篥(主旋律)
・龍笛(旋律)
絃楽器(両絃)・琵琶(拍節)
・筝 (拍節)
打楽器(三鼓)・鞨鼓(拍節)
・太鼓(拍節)
・鉦鼓(拍節)

 

このような編成となったのは平安時代の中頃と言われており、管楽器、絃楽器、打楽器の編成は西洋音楽のオーケストラと同じです。

 

舞楽

舞楽とは雅楽の楽曲を伴奏として舞う舞で、日本古来の舞と外国から伝えられた舞とに大きく分けられています。

日本古来の舞は、国風歌舞と言われ、歌曲の伴奏で舞われるものです。
外国から伝えられたものは、現在は左方の舞と右方の舞とに区別されていて、左方の舞は唐楽(とうがく※中国系統)、右方の舞は一部の例外を除き高麗楽(こまがく※朝鮮半島系統)の伴奏で舞われているそうです。

左方の舞では「笙・篳篥・龍笛」に打楽器は「鞨鼓・太鼓・鉦鼓」を用い、右方の舞では笙は用いず、「篳篥・高麗笛」に打楽器は「三の鼓・太鼓・鉦鼓」を用います。

 

雅楽に使われる楽器

笙(しょう)

 

篳篥(ひちりき)

龍笛(りゅうてき)

 

琵琶(びわ)

筝(こと)

鞨鼓(かっこ)

 

太鼓(たいこ)

 

鉦鼓(しょうこ)

 

最後に(意外と多い雅楽からきた言葉)

明治の始めにオーケストラが輸入されたときに、雅楽の管絃に音楽の楽をつけて「管弦楽」としたといわれていたり、塩梅や、打合せなど雅楽からきた言葉は、実は結構多いんです。

※諸説ありのものもありますので、参考程度に見てください。

 雅楽での意味現在の一般的な意味
塩梅(あんばい)篳篥は同じ音でも、吹き方や唇の位置によって、音程に幅が出せます。この奏法を「塩梅」といいます。物事の具合や様子また、程よい加減の時に用いられます
打合せ奏楽のために一堂に召し出された際、微妙な演奏法を調整する為、前もって集まり、まず打楽器から約束事を取り決めたことによりできた言葉です。前もって相談すること
打ち止め雅楽の舞楽で舞人などが退出し、曲を途中で止めるときの打楽器の奏法の一つを「打止め」「撃止め」と言います。物事の終わりや、興行の終わりを意味します。
音頭(おんど)三管(笙・篳篥・龍笛)の主奏者(主管)「しゅかん」を指します。人の先に立って手はずを整え、実現するように皆をまとめていく係のことをいいます。
楽屋(がくや)雅楽の楽人の奏楽する場所。役者などが化粧をしたり衣裳を着けたり、準備をする場所を楽屋といいます。
コツ笙は17本の竹が組まれており、それぞれに名前が付いています。その一つに乞(こつ)といいます。その音を出すのが難しいそうです。物事の要点を把握し、核心を外さないように扱うさま。要領を得た様子。
序の口雅楽の楽曲のそれぞれの楽章には序、破、急などの名称がつけられています。物事の初めの部分
千秋楽(せんしゅうらく)雅楽に千秋楽という曲があり、舞楽法会などの最後には、この曲を演奏することが多かったようです。物事の終わり、芝居や相撲などの興行の最後の日のことをいいます。
頭取(とうどり)雅楽演奏時における各楽器の主席奏者の呼び名。頭立つ者、長たる人のこと。
とちる唐楽「五常楽急」の曲の冒頭にある笛の唱歌は「トロホルイ」で、戻って二回目は「チラハルイ」となりますが、頭のトとチを間違って歌ってしまうこと。失敗する、やりそこなうことを意味します。
二の舞二舞(舞楽曲)。前の人と同じような失敗をした時。
やたら雅楽には、八多羅(やたら)拍子という二拍子と三拍子の混合拍子という特殊な拍子があり、未熟者が演奏するとバラバラになってしまいます。むやみに」「やみくもに」というような意味です。
ろれつが回らない雅楽の旋法には、「呂(ろ)」と「律(りつ)」というものがあり、それぞれの音階に基づいて演奏されます。その呂、律の音階を間違えると訳の分からない曲になってしまうことを「ろりつが回らない」といい、これがなまり、ろれつが回らないになったといわれています。舌がもつれてうまく話せないことをいいます。

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